不動産売却時にかかる経費の内訳と売却に困った時の相談先を紹介

不動産売却時に必要な経費について知りたい

不動産売却時に、どのくらいのお金がかかるか分からないと不安になりますね。実際、売却時には経費や税金などで様々な費用がかかります。

何も知らないと、急にお金の用意をしなければならない事態になるかもしれません。この記事では、不動産売却時に必要な経費について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

目次
1.不動産売却時にかかる経費と税金の内訳
(取得費の一覧、譲渡費用の一覧、譲渡所得にかかる税金、その他の諸経費の内訳)

2.困った時には専門家にご相談を

不動産売却時にかかる経費と税金の内訳

不動産の売却には様々な費用がかかります。不動産の大きさや種類、所有期間などによっても金額が変わるので、事前に確認をしてお金を用意しておくことが大切です。必要な経費の種類は場合により異なりますが、以下のようなものが代表的な例です。

不動産の売却にかかる費用

・取得費

・譲渡費用

・譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税)

・その他の諸経費


譲渡所得の定義

不動産を売却して利益が出たことを「譲渡所得」と言います。その譲渡所得の価格は、計算して求めることが可能です。売却で得た「譲渡収入」の価格から不動産を手に入れるときにかかった費用である「取得費」と、売る時にかかった費用である「譲渡費用」を差し引いて計算します。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)

この譲渡所得に所得税と住民税という税金がかかります。これらを納税することに加えて、平成23年から最長25年間は、復興特別所得税の納税も必要です。

なお、譲渡所得にかかる税率は、不動産の利用形態や所有期間によって変わります。また、一定の要件を満たした場合は軽減税率が適用される場合もあるので、税金を必要以上に納めてしまわないよう、事前に知識を持っておくことは大事です。

取得費の一覧

不動産を手に入れるときにかかった費用などの取得費には、様々なものがあります。場合によりかかるものとかからないものがありますが、以下が具体的な例の一部です。

取得費一覧

・土地・建物の購入費用、建築費用

・購入時に不動産会社へ支払う仲介手数料

・購入時にかかる税金

・土地を自ら取得している場合、埋め立て、土盛り、地ならしなどの造成費用

・測量費

・古家があった場合の解体費用


土地や建物の購入費用

売買契約書があれば、それに記載されている料金が購入代金となります。なお、建物に関しては、減価償却を考慮しなければなりません。建物の価値は、年数が経つごとに減っていきます。その価値の目減り分を差し引いた金額が減価償却費です。土地は、減価償却を考える必要はありません。

減価償却費相当額は、計算式に当てはめて求めることが可能です。減価償却費相当額が分かったら、取得費の計算をすることができます。

減価償却費相当額=建物の取得費×0.9×償却率×経過年数
取得費=土地購入費用+建物購入費用-減価償却費相当額+購入時諸費用

減価償却の計算および減価償却率は、国税庁のサイト「「減価償却費」の計算について」でご確認ください。賃貸や商売で使っていた事業用の建物と、自宅として使っていた建物では、減価償却が異なることに注意が必要です。

なお、親から相続した土地や建物の場合などは、詳細が分からずに上記の計算式に当てはめることができないこともあります。その場合は、概算で取得費を計算することが可能です。

取得費=譲渡価格×0.05

具体的な例を紹介します。

売却した不動産 築18年、木造2階建ての一戸建て(償却率:0.031)
購入した価格 5,000万円(建物2,000万円、土地3,000万円)
購入時諸費用 200万円
譲渡価格 4,500万円
譲渡時諸費用 200万円

それでは計算式に当てはめていきます。

減価償却費相当額=2,000万円×0.9×0.031×18年=1,004万4,000円
取得費=3,000万円+2,000万円-1,004万4,000円+200万円=4,195万6,000円
詳細が分からない場合の概算の取得費=4,500万円×0.05=225万円

譲渡所得税や不動産取得税を瞬時に計算してくれるシミュレーションサイトがあります。シミュレーションサイトもぜひ活用してみましょう。

参考:リアルタイムシミュレーター|譲渡所得税の計算・シミュレーション
参考:リアルタイムシミュレーター|不動産取得税(土地+住宅用の建物)の計算・シミュレーション
参考:リアルタイムシミュレーター|不動産取得税(土地)の計算・シミュレーション

不動産購入時の仲介手数料

不動産購入時に不動産会社に依頼した仲介手数料も取得費に含まれます。支払い時期は、所有権の移転登記が完了した時が多いです。

金額は領収書から判別できるので、大切に保管しておいてください。万が一領収書を紛失した場合は、見積書でも代用できます。領収書も見積書も紛失した場合は、不動産会社に問い合わせてみましょう。

購入時にかかる税金

購入時にかかる税金は、主に以下のようなものがあります。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税など

売買契約書に貼る収入印紙により印紙税を納めます。貼る金額は売買価格によりますが、数万円程度が目安です。印紙税額の詳細は、国税庁のサイト「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」でご確認ください。

登録免許税とは、不動産の名義変更の際にかかる税金です。ほとんどの場合、手続きは司法書士に依頼し、代理で行ってもらいます。

不動産取得税は、不動産購入に伴う税金です。およそ6カ月~1年半後くらいになると、都道府県税事務所から不動産取得税に関する通知書が届きます。通知書が届く時期や納期などは各都道府県により異なるので注意しましょう。

これらは、自宅として使っていた不動産の場合は取得費に分類されますが、賃貸用や商売などの事業用の不動産の場合は必要経費に分類されます。

測量費

土地が含まれている不動産の売却では、隣地との境界をはっきりさせるために測量を行います。この測量費は売主が支払うのが一般的です。

売却のための測量の場合は取得費として認められます。しかし、売却時期よりもずっと前に測量した場合は、売買とは無関係だとみなされてしまい、該当しないと判断されてしまうので注意が必要です。そのため、譲渡が決定してから測量することをおすすめします。

なお、測量は必ずしも測量会社に依頼する必要はありません。「確定測量」と「公簿売買」の2つのケースがあるからです。

確定測量は、境界を明確にして地権者に確認してもらうことを目的に行う測量で、新たに登記をします。かかる費用は、土地面積30~100坪程度で35万~50万円程度です。国や市が立ち会う場合は、55万~80万円になることもあります。ただ、土地の状態により費用が大きく変わるので、不動産会社に確認をしましょう。

一方、公簿売買の場合、手元にある公図をもとに、現在登記されている面積を正しいとみなして売買する方法です。若干の違いがあっても、売主・買主の両者が納得していれば、売買契約を結ぶことができます。費用をおさえたい場合は、売り出すときに公簿売買に条件を設定するのもおすすめです。

譲渡費用の一覧

譲渡費用は、売却時に直接かかった費用のことを言います。譲渡費用も場合によりかかるものとかからないものがありますが、以下が具体的な例の一部です。

譲渡費用一覧

・土地や建物を売るために支払った仲介手数料など

・印紙税で売主が負担したもの

・貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうために支払った立退料

・土地などを売るための建物の取壊し費用とその建物の損失額

・売買契約締結後、さらに有利な条件で売るために最初の契約者に支払った違約金

・借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料


引用元:国税庁のサイト「譲渡費用となるもの

不動産会社に支払う仲介手数料

不動産会社に支払う仲介手数料は、成功報酬です。売買契約が成立した時点で、報酬を支払う義務が発生します。逆に言えば、売買が成立しなかった場合は、支払う必要がありません。

買主と売買契約を結んだときに半額を、物件を引き渡したときに残りの半額を支払うのが一般的です。なお、不動産会社に特別な宣伝活動や管理業務を依頼した場合、別途費用が発生することがあるので注意しましょう。

仲介手数料には上限があり、ほとんどの不動産会社がその上限に手数料を設定しています。以下は仲介手数料の計算式です。あくまでも上限額だということを心得ておきましょう。

販売価格が200万円以下の仲介手数料の上限=販売価格×5.4%
販売価格が200万円超え~400万円以下の仲介手数料の上限=販売価格×4.32%+21,600円
販売価格が400万円以上の仲介手数料の上限=販売価格×3.24%+64,800円

上記の計算式は、消費税8%の場合の計算式です。なお、半額キャンペーンを実施している不動産会社があったり、友人や親戚に不動産を売却するなどの場合は値引きしてくれたりするケースもあります。

売買契約書に貼る印紙税

郵便局等で購入した収入印紙を売買契約書に貼り、割印をして印紙税を納めたとみなされます。印紙税を納めないと、印紙税の3倍の過怠税が課されるので注意しましょう。

平成26年4月1日~平成32年3月31日までの間に作成される契約書に記載されている金額が10万円を超えているものには、軽減措置が適用できます。印紙税の金額は以下の通りです。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え、50万円以下 400円 200円
50万円を超え、100万円以下 1,000円 500円
100万円を超え、500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え、1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円を超え、5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円を超え、1億円以下 60,000円 30,000円
1億円を超え、5億円以下 10万円 60,000円

抵当権抹消登記費用(登録免許税)

抵当権とは、ローンを返していない場合に銀行が不動産を差し押さえることができる権利のことです。不動産を担保にしてお金を借りた場合、この抵当権が付いてきます。差し押さえた後に競売にかけるなどして、銀行は貸しているお金を回収できる仕組みです。

抵当権付き脳不動産物件を買う人はいないので、売却時には借入金を全額返済し、抵当権を抹消する必要があります。抵当権抹消登記費用(登録免許税)は、不動産1つで1,000円です。土地上に建物がある場合で、両方に抵当権が設定されている場合は、1,000円×2=2,000円かかります。

加えて、司法書士等の代理人に登記を依頼する場合、約5,000円~10,000円程度の代理人依頼手数料も必要です。自分で手続きすることもできますが非常に手間がかかるので、ほとんどが司法書士等の代理人に依頼します。

譲渡所得にかかる税金

不動産を売却して譲渡所得が出た場合、譲渡所得に対して所得税や住民税が課せられます。以下に、譲渡所得税と住民税、そして平成23年から25年間(2037年まで)までかかる復興特別所得税について解説しているので、一つずつ見ていきましょう。

譲渡所得税

不動産売却でかかる所得税は、所有期間によって税率が変わることに注意が必要です。短期譲渡所得は所有期間が5年以下の場合で、長期譲渡所得は所有期間が5年超の場合となります。

所有期間は、不動産を購入した日から1月1日を何回経過したかで年数を計算しましょう。相続した不動産の場合、所有期間は親から相続した日からではなく、親がその不動産を取得費から数えます。

所得税率 住民税率
短期譲渡所得 30% 9%
長期譲渡所得 15% 5%
復興特別所得税(2037年まで) 所得税×2.1%

※復興特別所得税に関する詳細は、後述で詳しく解説します。

以下は、具体的な税金額の例です。具体的な数字で比較してみると、納税額の違いの大きさが分かります。

譲渡所得 所得税
(短期譲渡/長期譲渡)
住民税
(短期譲渡/長期譲渡)
復興特別所得税
(短期譲渡/長期譲渡)
税金の合計額
(短期譲渡/長期譲渡)
100万円 30万円/15万円 90,000円/50,000円 6,300円 39万6,300円/
20万6,300円
500万円 150万円/75万円 45万円/25万円 31,500円 198万1,500円/
103万1,500円
1,000万円 300万円/150万円 90万円/50万円 63,000円 396万3,000円/
206万3,000円
3,000万円 900万円/450万円 270万円/150万円 18万9,000円 1,188万9,000円/
618万9,000円

住民税

不動産売却でかかる住民税も、譲渡所得税と同じく所有期間によって税率が変わります。詳しくは、前述の「譲渡所得税」に記載のある表を参考にしてください。

ただ、譲渡所得税は確定申告の時期(2月16日~3月15日)になったら申告して納税します。しかし住民税は、6月、8月、10月、1月などの年4期のいずれかが支払い時期です。支払い時期の前に、自治体から住民税納付書が送付されます。

復興特別所得税

東日本大震災の復興のための財源確保のため、平成23年から25年間(2037年まで)は、復興特別所得税も納めることになりました。復興特別所得税は、所有期間に関係なく「所得税×2.1%」で計算します。

その他の諸経費の内訳

以下は、他に必要になる可能性がある諸経費です。

その他諸経費

・処分費

・契約費

・各種証明書の発行費

・不要品の処分費用

・引っ越し費用

・印鑑登録証明書

・ローン残高証明

・書住民票取得費

・その他の清算など


修繕費

修繕費は、ケースバイケースです。例えばリフォームとクリーニングをする場合は高額な費用がかかりますが、クリーニングだけで済むのであれば、リフォームよりも費用を抑えられます。他にも建物を解体して土地を売る場合は解体費が必要になるなど、場合により修繕費にかかる金額が様々です。以下に修繕費の相場をまとめました。

相場
リフォームとクリーニング代 ・全体:626.2 万円
・戸建て:648.8 万円
・マンション:504.3 万円
ハウスクリーニング費 50,000円~15万円程度
廃棄物の処分費 10万円~50万円程度
敷地の測量費 50万円~80万円程度
建物の解体費 100万円~300万円程度

上記の金額例はあくまでも目安です。金額を知りたい場合は、不動産会社に問い合わせをすれば、概算を教えてくれます。

固定資産税

建物や土地、マンションなど、不動産の種類に関係なく、固定資産税(都市計画税)は支払い義務が生じます。不動産を売却して所有権が買主に移った後は、その年の残りの日数分は買主が負担することが義務です。そのため、残りの日数分の固定資産税の金額は、買主から日割り計算で返金してもらえます。

納付書の届く日にちは正確に決められているわけではありませんが、およそ6カ月~1年後に納付書が送付されてくるケースが多いです。

引越し費用

引越し費用の相場は、大体10万円を目安に考えると良いでしょう。引越し費用には、以下のような料金があります。

  • 基本運賃:作業員の労働時間や引越しの距離によって決まる料金です。
  • 実費:トラックの貸切費、作業員の人件費、売却物件までの交通費、梱包費用などがあります。
  • 割増料金:繁忙期、土日・祝日、早朝などに割増料金が設定されることがあります。
  • 付帯サービスの構成:エアコンの取り外しなど、いわゆるオプションです。オプションの内容により金額が変わります。

困った時には専門家にご相談を

譲渡費用や取得費のことだけを考えており、その他の諸経費を見落としがちな人が多いです。しかし諸経費が意外にかかることもあります。以下は、見落としがちなポイントの例です。

  • 例)抵当権抹消には登録免許税のほか、司法書士に支払う報酬
  • 例)確定申告を税理士に依頼する場合の費用
  • 例)マンションの場合は、管理費や修繕積立金など

なお、譲渡費用にならなくても取得費になるものもあります。このように、複雑な面もあるので注意が必要です。不動産売却にかかる経費についてわからないことがあれば、不動産会社に相談するとアドバイスをもらえることがあります。

しかし、実績や知識がないと的確なアドバイスがもらえないので、前提として不動産売却時には信頼できる不動産会社に仲介を依頼することも重要です。一括査定を利用するなどして、的確なアドバイスをもらえそうな不動産会社を選びましょう。

それでも不安に感じたら税理士に相談しサポートしてもらうことをおすすめします。